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THE WANDERLAND for Dogs, Cats and Us
6月に公開となる映画「犬と猫と人間と2」。
これまで断片的にしか取りあげられなかった被災地の人と動物に迫ったドキュメンタリー映画です。
本サイトで「犬のはなし」を連載中の穴澤賢さんをナビゲーターに迎え、前作の監督であり今作では構成・編集・プロデューサーをつとめた飯田基晴さんと、監督の宍戸大裕さんに話を伺いました。
穴澤:前回、宍戸さんは震災から8日後に被災地に入ったと言われていました。僕はずいぶん経ってから被災地に行ったのでわからないのですが、8日後だったら相当ひどい状態だったのでは。
宍戸:宮城県名取市に実家があるので、最初に名取の沿岸を見ようと思い、閖上(ゆりあげ)という地区に行ってみたんです。歩いて沿岸部に近づくごとにどんどん景色が変わっていくのを見たら…よく「言葉を無くす」という表現が使われますが、本当にその通りで。
穴澤:映画の冒頭で、壊れた家の前にいる人にカメラを向けながら話しかけるシーンがあるじゃないですか。あれを見て、よくカメラを回せるなぁと感心したんです。実際にその場にいると、カメラを向けて話しかけられるような状態じゃなかったでしょ。怒られたり、迷惑がられたりはしなかったんですか?
宍戸:なかったです。というよりも、怒られるまでカメラを向けることができず、何かを言われる前にやめていました。
飯田:「撮らなきゃ」と使命感を持っていたわけですが、途中で諦めてしまうのが映像に残っていて。カメラを廻したまま一度声をかけているんですけど、応えてもらえずにカメラがガクッと下を向くんですね。そのときの宍戸くんの心情がとても伝わってきました。
穴澤:そんなひどい状況の中、犬が道路を走り去るシーンがありますよね。震災から8日目だと、犬がたくさんいたんですか。
宍戸:あのときはあの1匹しか会わなかったです。
穴澤:そうなんですね。被災地に入ってからは、飯田さんに撮影の相談などをしていたのでしょうか。
飯田:僕自身、被災地の状況は気になりつつ、なかなか行けなかったので、宍戸くんにちょこちょこ連絡して話を聞いたりはしていました。映画としてまとめるような話はその時点ではまだなかったです。
宍戸:撮るからには形にしたいっていう気持ちはありました。でも高尾山の映画も2年もかかってますし、しかもあのときは「これを作りたい」という思いがありました。今回の場合は本当に何がどう映るか何もわからない状態だったので。