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THE WANDERLAND for Dogs, Cats and Us
日本と世界を旅した「3つ編みプロジェクト」を終えて
取材・文/岡田モフリシャス
「大変だったけど、とても楽しかった」
ブログ「うちの猫ら」を運営し、愛嬌あるぶさいく顔の猫「ヨウカンさん」の飼い主として知られているkachimoさん夫妻が主宰する「3つ編みプロジェクト」が2013年12月の「さあ、おウチへ帰ろう!展」をもって終了しました。
「3つ編みプロジェクト」は、レトロな女子学生のような3つ編みのヅラを猫にかぶせた写真を撮るだけ。この写真をA4サイズのパネルにし、展示会などを開催します。ここで販売される関連グッズなどの売上げ金は飼い主のいない猫の去勢・避妊を行っているボランティア団体や保護団体に寄付される、 “不幸な猫を増やさないため”にスタートした資金援助活動です。
当初は「写真が50点集まった時点でこの活動は終わり」と考えていたkachimoさんですが、いざ始めてみると予想をはるかに超える反響があったそう。
「50匹の猫の写真を集めようと思い募集をかけたら、ひと晩で100匹分の応募が殺到しました。3つ編みのヅラは順番に貸出していて、長いときは半年待ちの人も。ヅラを送って引き取ってを繰り返して気がついたら3年経っていたという感じです。今は募集は終えましたが、340人の飼い主さんにご協力いただき710匹の猫の写真が集まりました」
写真パネルの管理やプリントなどで大変だったこともあるそうですが、「ヅラを送って、その後どんな写真があがってくるか楽しみで。写真が届いて、それを開けて見るのも楽しかったです」と活動を振り返ってくれました。
なぜ、3つ編みだった?
活動は、東京・北区王子にある猫雑貨店「丸山商店」の店長さんが「これをヨウカンさんにかぶせてみて!」と3つ編みのヅラをkachimoさんに渡したのがすべての始まり。
※丸山店長は、東京・荒川区にて「ねこまる茶房」の運営をされています。ねこまる茶房取材の模様はコチラ!
かぶせてみると、思わず噴き出すヘンテコな写真が撮れ、猫の意外な表情が楽しい一枚に。ほかの猫がかぶると一体どうなるんだろう? どうせならたくさんの猫にかぶってもらって、前々から考えていた不幸な猫を増やさないための寄付を集めてみたらいいかもしれない……。こうして、2010年に「3つ編みプロジェクト」がスタートしました。
「ぷっ」と思わず笑ってしまうけれどどこか哀愁がある“3つ編み”だからこそ、ほかの髪型では表せない何かがあったのかもしれません。
順番待ちを減らすため活動で使用した3つ編みのヅラは最終的に6つになり、日本だけでなくフランス、イギリス、オーストリア、アメリカ、ニューカレドニア、香港の計6カ国と、飼い主のみなさんの想いをのせてさまざまな場所を旅してきました。
飼い主と猫の関係も見えてくる
「写真をどう撮影するかはすべて飼い主さんにお任せ」というkachimoさんは、写真から飼い主さんの創意工夫が読み取れて、そこも魅力だといいます。
「やっぱり嫌がる猫も多いんですよ。無理のない範囲で撮影をお願いしていますが、みなさんすごく頑張ってくださって。猫が逃げてしまってヅラをかぶせられないから、猫がヅラをかぶってるみたいに見えるよう撮影してくださったり、寝ているときに頭に乗せて撮影していたり、猫の個性と飼い主さんの愛情が伝わってくるのもこの活動の面白さだと思います」
猫の魅力は単純なかわいさだけにあらず。どんな表情の写真も素敵です! そんな猫ごとの色々な表情を集め、楽しんでもらうことと支援活動に参加してもらうこと、これを両立させたのが「3つ編みプロジェクト」だったのです。