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犬のこと猫のこと 愛犬のための防災

9月は防災月間。大規模な災害が起こると、人だけでなくペットの防災や避難も問題になります。ペットの防災意識は高まってきたものの、東日本大震災では多くのペットや飼い主さんが悲しい目に遭いました。求められているのは、飼い主さん自身による対策。
今回から3週にわたり「愛犬・愛猫を守るためにできる防災」を連載します。

監修者プロフィール

荒井隆嘉先生

東京都台東区のしつけ教室DOGLY代表。東日本大震災では、地震直後から現地に入り動物救護に尽力。犬の防災にもっとも力を入れているしつけトレーナーのひとり

岡田朋子さん

動物愛護ボランティア団体「新潟動物ネットワーク」代表。動物同居可能仮設住宅の必要性を訴え、これがきっかけで福島県鹿島区にペット飼育者のみの仮設住宅棟ができる

石井章夫さん
高木優治さん

東京都新宿区保険所衛生課管理係。新宿区は、早くからペット防災について取り組み、ペット同行避難については自治体の中ではパイオニア的存在。高木さんは環境庁をはじめ、全国の自治体でペット防災、地域猫に関する講演を行う

愛犬のための防災vol.1「避難を知る」

飼い主さんの意識が愛犬を守るカギに

現状、犬との同行避難については発展途上で地域差があります。可能な地域が増えていますがルール作りはまだのところも。また、犬用の備蓄があるところは一握りなので、飼い主さんが災害時を想定し、物を備えたり、日ごろから意識することが愛犬を守るカギとなるでしょう。

「愛犬との避難」について知っておこう

避難所の管理は県や郡単位ではなく、市区町村ごと。まずは役所の代表番号にかけ「災害時のペット同行避難について知りたい」と伝え担当部署に回してもらいましょう。電話では「同行避難できるか」「避難所に犬グッズの備蓄はあるのか」「避難中の犬の待遇」などを聞き、それに応じて対策を。

近所の地域の地図、メモ帳、ペンなどを用意してから電話を

避難訓練に参加しよう!

地域でペットも参加できる避難訓練が行われていたら、ぜひ積極的に愛犬といっしょに参加してください。飼い主さんが災害時にあわてないためにもなりますし、役所にとっても、今後の防災のヒントになります。

新宿区の小学校で行われた避難訓練の様子(左)クレートに入って犬も避難の練習。大型犬だと遊具に係留されることもあるそう(右)

地震発生車で愛犬と震度7を体験。揺れが強いと抱きかかえることもできない…(左)火事を想定した訓練。火災の煙が充満し、視界が悪いなかを愛犬と脱出します(右)

新宿区保健所 石井さんより

同行避難できないときは?

中越地震や東日本大震災でも、犬と車で過ごす家族が多くいました。熱中症予防や寒さ対策を行い、人はエコノミークラス症候群に注意して過ごしましょう。
他にも、避難が解除される、または、避難所を出ても生活ができる段階になるまで犬を預けるという選択肢もあります。預け先とは、まめに連絡がとれるようにしましょう。

※エコノミークラス症候群(急性肺動脈血栓塞栓症)とは、長時間同じ座った姿勢でいた人が動き出したのちに体調が悪化する病気。急死することも。

石巻動物救護センター(H23.5.21撮影)

同行避難を断られることも

多くの避難所では犬はクレート(箱型ハウス)やケージで過ごします。そこに入れなかったり、吠え続けてしまうような犬は断られることも。ハウスのしつけや吠えグセ直しはイザというときに必要です。

飼い主さんのマナーが悪いと愛犬の待遇が悪くなると思って

飼い主さんが避難所のルールを守れなかったり、まわりを配慮できない行動をしていたら「だから犬は入れたくない」といっしょにいられなくなることも。とくに犬連れでない人への気遣いを忘れずに。

実際に毛が飛ぶかどうかは別として、洋服を着せるなど抜け毛への配慮は大切

しつけインストラクター 荒井先生より

避難所ではルールを守って

避難所ごとにいる運営委員が決めたルールに則って過ごします。たとえば新宿区では、衛生面などから人と犬の同室避難は不可。犬は同じ敷地内の、雨風のしのげる別の場所で過ごすことになります。

東日本大震災では多くの避難所でペットと人は別室でしたが、それでも抜け毛、ニオイなどで一般の避難者ともめた例があります。犬と生活している人にとっては気にならないような抜け毛やニオイが、不快に思う人もいるかもしれません。ひと声かけるなど配慮し合って過ごすことが大切です。
今からできることとして、あいさつ程度の間柄でも、地域に顔見知りが多いと避難所では心強いです。

ある避難所の取り決め例

・散歩は決まったエリアで
・散歩は決まった時間に
・食事は決まった時間に
・ほかの犬とふれあわせない

顔見知りをつくっておこう

トラブル回避のためペットスペースには飼い主さんしか入れないようにしました(新潟市体育館:左)床にはビニールシート、ケージは目隠しをしてまわりに配慮しました(西総合体育館:右)

犬も災害で精神的ショックを受けています。
犬同士のトラブルにも気をつけましょう

災害時はふだん吠えない犬でも吠えたり、興奮しやすくなることが。犬も災害に傷つきストレスを抱えています。愛犬の様子がふだんと違っても叱ったり動揺しないで。

いつも使っているタオルや飼い主さんのニオイがついた服を敷くと安心しやすい

※この記事は『いぬのきもち』2013年4月号を再編集したものです。
『いぬのきもち』では定期的に防災対策についての記事を掲載しています。

撮影にご協力いただいたワンちゃん

松本ココ。ちゃん

メス・5才/ジャック・ラッセル・テリア

鈴木花梨ちゃん

メス・2才/ミニチュア・ダックスフンド

新保マックスくん

オス・9才/オーストラリアン・シェパード

撮影/尾崎たまき

次回予告

次回は日頃から慣れさせておきたいことや備蓄のことなどを紹介します。

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愛犬のための防災vol.1「避難を知る」 コラム いぬ /inunekonokoto/g6n2u9000000le9l-img/g6n2u9000000leay.jpg 1 飼い主さんの意識が愛犬を守るカギに
9月は防災月間。大規模な災害が起こると、人だけでなくペットの防災や避難も問題になります。ペットの防災意識は高まってきたものの、東日本大震災では多くのペットや飼い主さんが悲しい目に遭いました。求められているのは、飼い主さん自身による対策。 今回から3週にわたり「愛犬・愛猫を守るためにできる防災」を連載します。 監修者プロフィール荒井隆嘉先生東京都台東区のしつけ教室DOGLY代表。東日本大震災では、 g6n2u9000000le9l
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