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THE WANDERLAND for Dogs, Cats and Us
続いて、大森さんがセレクトしたねこ漫画も見てみましょう!
◎ねこ漫画セレクション by ヴィレッジヴァンガード下北沢店・大森 慧さん
大森さん’s ランキング
- 1位 『日曜日は、ネコごはん』(山本喜子/芳文社コミックス)
- 2位 『江ノ島ワイキキ食堂』(岡井ハルコ/少年画報社 ねこぱんちコミックス)
- 3位 『かわいいにもほどがある』(いくえみ綾/ホーム社 ホームコミックス)
- 4位 『伊藤潤二の猫日記 よん&むー』(伊藤潤二/講談社 ワイドKC)
- 5位 『女と猫は呼ばない時にやってくる』(小池田マヤ/双葉社 ジュールコミックス)
1位 『日曜日は、ネコごはん』
【どんな作品?】
新婚カップルなっちゃんとシュン、そしてふたりの飼いネコ「しっぽ」の幸せの軸は、おいしいゴハンにあり。平日は料理好きの夫が、日曜は妻が腕をふるうキッチンで、彼らはネコのゴハンも手づくりしています。ペットと人を結ぶネコ食ストーリー。ネコのゴハンのレシピつき。
【大森さんのツボ!!】
「ネコの分も含めて家族のゴハンをせっせとつくり、みんな一緒にゴハンを囲む……そんな暮らしの風景にほのぼのさせられて、いいなぁと思います。ネコがペットではなく、家族なんだ、という感じが伝わってくる作品です」
実生活では犬を飼っていたことがあるので犬のほうが好きで、猫は飼うよりマンガで読むほうがいいという大森さん。「猫はかわいいのですが、気まますぎる印象で。犬と暮らしたことのある私では一緒に暮らすのは務まらないかも。だからこそ、マンガの中で一緒に暮らしている気分を味わえるのは楽しいですね」そう言って、愛すべき作品をセレクトしてくれました。
2位 『江ノ島ワイキキ食堂』
【どんな作品?】
江ノ島を舞台にしたハートフルコメディ。江ノ島で「ワイキキ食堂」を営む男子・頼ちゃんの飼い猫で食堂の看板猫・オードリーは、ボディにハートのマークがあるかわいい猫。人の言葉を理解し話すこともできるオードリー(でも話せることは、頼ちゃんには内緒)が、周囲の恋も仕事もお手伝い。
【大森さんのツボ!!】
「犬も猫も擬人化されて描かれているもののほうが好きなんです。そのツボに完璧にハマったのが本書。最初はカバーの猫の絵のかわいらしさに惹かれて手に取りましたが、読み進めるうちにキャラクターのかわいらしさにハマりました。『きょうの猫村さん』もですが、見えないところで人を助けてあげたりする性格のよさや、子猫みたいにかわいいのに、実は何十年も生きていて人の言葉も話せる化け猫 (?)だったりする意外性もあって楽しめます 」
猫のオードリーが大好きな頼ちゃんは、怖いものが大嫌い。だから、「もしも化け猫だとばれたら、頼ちゃんに嫌われて、一緒にいられなくなるかも……」そう悩みながら、かいがいしく頼ちゃんの世話を焼くオードリーが健気でほんとうにかわいいです。
3位 『かわいいにもほどがある』
【どんな作品?】
人気マンガ家・いくえみ綾が飼ってきた歴代の愛猫たち(いえ猫:キヨ、キュウリ、チョビ太、茶子、カブ/そと猫:マメ、のんちゃん1号、グレー猫)の悲喜こもごもの思い出・猫生活を描いたコミックエッセイ。巻頭には愛猫たちの思い出写真も。
【大森さんのツボ!!】
「『いくえみさんちの白い犬』がすでにランクインしていますが、この著者の作品、やはりいいんですよね。絵も発想も上手いというか。普通に趣味で単行本、買ってます。本書では、突然亡くなった猫の話、新たに家族に迎えた猫の話も含め思い出語りをしていて、まるでいくえみ家の愛猫アルバムを眺めているような気分になれます。語り口から『ほんとうに猫が好きなんだなぁ』と感じられるのがよいです。猫好きにおすすめです!」
同じ猫飼いの身としては、愛猫の突然の死のエピソード、その猫が帰ってきたかも……と感じる夢うつつのエピソードに涙。
4位 『伊藤潤二の猫日記 よん&むー』
【どんな作品?】
人気ホラー漫画家、伊藤潤二さんの描くコミックエッセイ。元犬派のホラー漫画家Jが婚約者A子の希望で子猫の“むー(ノルウェージャンフォレストキャット)”と甘えん坊猫“よん(ミックス)”の2匹と暮らすなかで遭遇するさまざまな出来事とは。そして、自分になつかない2匹に対するJの思いは? ホラータッチでつづられる異色のネコ愛マンガ。
【大森さんのツボ!!】
「実は、本書は当店で尋常でなく売れている一冊です。ホラーコーナーの同著者コーナーに置いているのですが、毎週10冊ほどコンスタントに売れ続けています。これは珍しいケースなんです。ほかの本を探しに来たついで、著者の新刊を買った時に一緒にではなく、買う人は単体で買っていきます。やはり表紙のインパクトでしょうか。作品の魅力ももちろんですが、実に不思議です」
ヴィレッジヴァンガードで不思議な売れ行きを見せているという本書。猫好きに訴える謎のフェロモンを放っているようです。本書の本当の魅力は、やはり、実際に読んで確かめていただくしかなさそうですね。
5位 『女と猫は呼ばない時にやってくる』
【どんな作品?】
「猫を見たら詩を詠む」と決めている平理砂子・通称ヒラリーは、憧れの同人誌の投稿者「呟木吟子」会いたさに東京・高円寺へ。たどり着いたレストラン「BAR&KITCHEN 呟木」は、お酒と料理のおいしい店で、夜な夜な謎の女たちが集っていた……。
【大森さんのツボ!!】
「通り過がりの猫を愛でる感覚で楽しめる猫マンガです。猫をつまみに料理もお酒も人間模様も恋も……と、猫を飼っていない人も十分に楽しめます。メインは主人公をめぐる人間模様なのですが、ちょくちょく猫が登場。主人公とネコを重ね合わせているようなところもあるのかな、と。初対面では、なかなか人と打ち解けなかったり、気分でプイッと行ってしまったり。女性マンガでは時々そういう重ね合わせをしていることがありますよね」
道ばたの猫がかわいらしく描かれている本書ですが、いちばんのウリは料理とお酒がおいしそうに描かれていることだったりします。自分に課した約束のために周囲に誤解されたりと不器用ぶりを見せる主人公もかわいらしい。結局、主人公は憧れの「呟木吟子」に会えるのか。彼女は何者だったのか? 真相は、ぜひ実際に本書を読んでお確かめください。
* * *
*ヴィレッジヴァンガード 下北沢店の大森さんによるセレクションはいかがでしたか?
ご協力くださった4店舗とも、担当者の好みが反映されたユニークなセレクションでした。心に引っかかった作品があれば、ぜひ読んでみていただけたらと思います。
そして……今回はご紹介できなかった埋もれた名作・快作、まだまだあるはず。 皆さまの心の「いぬねこマンガ」も、ぜひ下のコメント欄にご投稿ください。お待ちしております。
Profile
大森 慧さん/ヴィレッジヴァンガード 下北沢店 コミック担当
「コミック担当暦は5年。以前は自由が丘店にいました。マンガは犬猫どちらのジャンルも好きですが、犬を飼っていたのでどちらかというと犬派。一時期、犬が登場する小説を集中して読んでいた時期も」
(注:大森さんは取材後に異動し現在は、渋谷宇田川店(東京都渋谷区宇田川町33-1 GRAND東京B1F tel.03-5728-4227)に勤務されています。)
犬猫マンガ以外での今の一押し
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『淀川ハートブレイカーズ』
(原作:森本ヨシアキ・作画:須田信太郎/プレスポップ)全1巻。ダンスフロアに集う男女、DJをめぐる実体験や妄想の悲喜こもごもをちょっとせつなく、おかしく描いた短編文学漫画集。音楽好き、サブカル好きな方におすすめです。
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『喰う寝るふたり 住むふたり』
(日暮キノコ/徳間書店 ZENON COMICS)現在1巻まで発売中。同棲生活8年目を迎えた恋人以上、夫婦未満の30代カップル。そんなふたりに起こる日常の出来事を男性目線と女性目線の両方から描き分けたザッピングストーリー。男女のすれ違いの原因がわかったりと謎解き感覚で楽しめます。
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『テンペスト』
(阿仁谷ユイジ/講談社 KC×ITANコミック)現在3巻まで発売中。西暦3992年、ヒト科のY染色体が絶滅した世界に<彼>は世界唯一の男子として生まれる。究極のマイノリティ漫画であり、特異なラブストーリーとしても楽しめる一冊です。
※下の2作品は同店もうひとりのコミック担当:佐久間さんによるおすすめ作品。
Shop Data
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ヴィレッジヴァンガード 下北沢店
住 東京都世田谷区北沢2-10-15 マルシェ下北沢
TEL. 03-3460-6145
営 10:00〜24:00 休 年中無休
HP http://www.village-v.co.jp
*<読んでおきたい いぬねこ漫画セレクション>タイトル写真に掲載の作品は編集室の棚からのセレクション。どれもオススメですよ。奥左から順に「おじしゃま事件です」(KYOKO/河出書房新社)、「女社長レナ」(URA EVO/ペットライフ社)、「わんこのきもち~成犬譲渡ボランティアが見た、涙と絆の物語~」(樋口きしこ・石田るか/ぶんか社)、「アラビア猫のゴルム」全2巻(ヤマザキマリ/講談社 ワイドKC)、手前左から順に「コミック 猫パンチTV」(猫パンチTV/幻冬舎)、「俺とねこにゃん」全4巻(唐沢なをき/小学館 BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)、「きのこいぬ」2013年3月現在、3巻まで(蒼星きまま/徳間書店 Ryu Comics)、「ロダンのココロ 」春・夏・秋・冬(内田かずひろ/朝日新聞出版 朝日文庫)、「女いっぴき、猫ふたり」(伊藤理佐/文藝春秋 文春文庫)ほか
取材・文 清水たかこ
「いぬねここコレクション」は今回で終了となります。ご愛読ありがとうございました。