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犬・猫と暮らすこと 犬と食事を考える〜その4【穴澤賢の犬のはなし】
Vol.17 犬と食事を考える〜その4
そんな大吉の最大の悩みといえるのが、食について。とにかく食が細いのだ。食べ物に対する執着心があまりないらしい。犬というのは、何をあげてもガツガツ食べるものではないのか?
その悩みを解決すべく、動物病院向け栄養相談を行うペットベッツ栄養相談を主催し、ペット栄養コンサルタントである奈良なぎささんを大吉の暮らす我が家にお招きしてお話を伺ってみました。前回は犬に必要な栄養や吸収率の話。今回は食が細くなったときの対応についてお聞きました。
シンプルな手法で食事傾向を確かめる
奈良:あくまでも私の経験値なのですが、犬は人間よりも消化に対する順応性が弱い気がするんですね。たとえば、人間は目先や栄養バランスをとるために昨日はステーキだったから今日は魚にしようとかするじゃないですか。「昨日は脂肪を多くとったから今日は控えよう」みたいな意識が働くわけです。
穴澤:はい。
穴澤:ありますあります。
奈良:臭くなかったですか?
穴澤:臭かったです。前に富士丸という犬を飼っていたときも下痢をして、もの凄い臭いオナラをしたので動物病院に連れて行ったことがありますよ。
奈良:たぶんですけど、このようなときはすでに膵臓や肝臓の機能が疲れていることを意味します。
穴澤:そうだったのかぁ。
穴澤:白身魚ですか。
奈良:そう、少しずつ入れて食べるかどうかを見るんです。大吉くんみたいに神経質な子はとくに、一種類ずつ試していかないとダメ。一気に増やすと匂いがたくさん混ざって不安をあおるだけになってしまうんです。
穴澤:そうなんですね。
奈良:それでも食べなかったら飼い主さんが食べて見せてあげて、大丈夫だということを示してあげると、食べる犬もいるんです。
穴澤:なんだかすごく過保護な気もしますが……。でも食べてくれないときは、本当に心配になるんですよね。
穴澤:ええ。
穴澤:たしかに。
奈良:そして、もう一度食事内容を見直してみて下さい。栄養バランスやエネルギー量がその犬に適していないと健康は維持することができません。このようなことは、愛犬の手作り食を「見た目の分量」で作っている場合によく起きています。手作り食の場合、約70%の水分が含まれているのに対して、ドライフードは水分が3〜11%しか含まれていません。そのため見た目の「かさ」がまったく違います。そのためドライフードを以前に与えていた、あるいはドライフードを併用している食事で「こんなもんかな~」と適当な分量で食事作りをしていると栄養の過不足が生じてしまいます。
穴澤:なるほど、これまでいかに適当にやっていたのかすごくわかりました。でも、犬の手作り食の本とか読んでも、あまりそういうことって書いてないじゃないですか。
奈良:そうですよね。
穴澤:僕、犬のごはんの見た目は気にしなくてもいいと思うんです。
奈良:そうですね、実際には何をどれくらい与えるかですよね。
奈良:大吉くんの食事内容と現在の栄養状態を見てみるといいんです。
穴澤:それは、血液検査とかして?
奈良:そうです。血液検査はあくまでもひとつの目安ですが、栄養状態や内臓の働きなどに推測を立てることができます。
穴澤:そうなんですか?
奈良:ええ、それを基準にどのようなタンパク質や脂肪源を使うか、またどれだけ摂ればいいのかなどを決定していきます。ほかにも、水分摂取が必要量を満たしていないことが食欲や体調変化と関係あるため、そのあたりも食事と一緒に見ていきます。
奈良:もちろんです。ただし、かかりつけの先生に血液検査をお願いして、食事相談についてご了承を得て下さいね。食事は健康管理の一部なので、かかりつけの獣医師、飼い主さんと一緒に把握していることが大切だと考えています。
穴澤:大吉の話ばかりしていてもいけないので、犬全般の食事についてお聞きしたいのですが、結局のところ手作りと市販のフードはどちらがいいんでしょう?
奈良:「どちらがいいか」というよりも「どちらを飼い主さんが継続的にできるか」が重要です。愛犬の食事は飼い主さん次第です。ご自分のライフスタイルや経済性の中でストレスがかからずに継続できる形を選択することが、愛犬だけではなく家族全員の幸せにつながると考えています。そしてそれは結果愛犬の幸せですから。
(つづく)
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