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ウンチへの愛【穴澤賢の犬のはなし】

ウンチへの愛

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自分も含めて、犬や猫と暮らしている人は、そうでない人に比べて他者のウンチに対する抵抗が少ないもんだと思っていた。が、実はそうでもないらしい。
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いきなり汚い話で申し訳ないが、犬や猫と暮らしていると、日々彼らのウンチを処理しなくてはならない。人によって方法は多少違うと思うが、わが家の場合、手にウンチ袋をかぶせてそのまま拾う。だからその「感触」を直接手で感じることになる。
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経験のない人からしたら信じられないかもしれないが、多かれ少なかれ、犬飼い猫飼いはみんなやっていることだ。というより、ウンチというのは健康状態のバロメーターなので、汚いと思うよりも先に、「今日はどんな便だろう」という気持ちになる。そして健康なウンチだと「よしっ!」と思わずガッツポーズしたくなるし、逆にゆるかったり、下痢だったりすると、すごく心配になる。
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だから彼らのウンチを拾う行為は、嫌悪するどころかとても重要な意味を持っている。ただ、毎日「他者」のウンチを拾うというのも、よく考えたら特殊なことなのかもしれない。しかしすっかり慣れてしまっているのも事実なので、自分ではウンチに対する免疫がかなりついているものだと思っていた。ところがそうでもないということが、最近わかった。
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家の裏手に水道があり、そこで犬の足を洗ったりできるちょっとしたスペースがある。蛇口の周囲はコンクリートだが、半分は土のままになっている。この間、そこで大吉と福助の足を洗うためにしゃがんでいると、なんだか臭いことに気がついた。周囲がウンチ臭いのだ。「お前らか?」と思って大吉と福助のお尻を見たが綺麗だった。
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原因を探るべくウンチのニオイを頼りに周囲を探すと、土の上にウンチを発見した。大きさからして、おそらく猫ではないかと思う。近所にはノラ猫なのか、放し飼いなのか、猫がいるのは知っていた(まったく人馴れしていない)。時間が経って砂をかぶっていたが、かなり臭い。とにかく片づけなくてはと思ったのだが、なぜか気が進まない。ウンチを拾うのはいつものことなのに、そのときはできればやりたくないと感じたのだ。
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とはいえ片づけないわけにもいかないので、スコップを持ってきて、ウンチ袋に入れた。自分でも疑問に思った。なぜいつもは袋ごしに手でウンチが拾えるのに、できないのか。そこではじめてわかった。これまで自分は他者のウンチに対しての感覚が麻痺しているのかと思っていたが、それは大吉や福助のウンチ限定だったのだ。
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その事実に気がついてから、これまで何気なく拾っていた彼らのウンチに、ちょっとした愛おしさすら感じてしまうようになったのだった。やはり、どこかおかしいのかもしれない。
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