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犬飼いの防災対策を専門家に聞いてみた〜その1【穴澤賢の犬のはなし】

犬飼いの防災対策を専門家に聞いてみた〜その1

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少し前に、防災の日に因んで日頃から心がけている防災対策について書いて欲しいと言われたのがきっかけで、『特別なことは何もしていない』ことに改めて気がついた。そこで、大吉と福ちゃんを引き連れて「動物と共に避難する」ための情報提供やサポートを行っているNPO法人「アナイス」の代表・平井潤子さんに話を聞きに行ってみた。
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NPO法人アナイス代表:平井潤子さん(写真左)

穴澤:今日はよろしくお願いします。

平井:よろしくお願いします。穴澤さんが書かれた『防災に関する記事』を拝見させていただいたんですが、視点はすごく共感しています。

穴澤:えっ、そうなんですか? 何もしてないって書いただけだったと思うんですが。

平井:結局のところ、備えがあっても、どうにもならないときはどうにもならないという阪神大震災のときの。

穴澤:たしかにそう思ってます。ホントに何もできませんでしたから。
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平井:私たちアナイスも、何か用意していてもそれができないこともあるというのが大前提なんですね。本当に一瞬のうちに家が潰れたりしたら、もうどうしようもないので。

穴澤:そうなんですよ。でも備えがあったから助かったという場合もあると思うんです。結局運みたいなところもあるかもしれないんですが、やらないよりはやっておいたほうがいいだろうと。ダメなときはダメだとしても。

平井:まさにそういうことだと思います。

穴澤:あとは前の記事でもちょっと書いた、元海上自衛隊の海将の人から、そういう備えも大事だけど、いざとなったらまず生き残ることを最優先に考えろと言われました。備えがあっても死んだらどうにもならないからと。よく考えたら当たり前のことですけど。

平井:そう、まず最初は自分が生き残り、家族が生き残ること。アナイスとしてはそういう人の防災といっしょにペットの防災も考えましょうというスタンスです。助かりさえすれば、食べ物なら何日かで来ますから。その点で救いなのは、犬はまだ人間の食糧、たとえばおむすびでもパンでも食べられるところですね。
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穴澤:猫は食べないんですか?

平井:食べないですね。

穴澤:ギリギリでも食べませんか?

平井:かなりギリギリにならないと食べないこは食べないです、猫は。その点、犬は融通がききますよね。栄養的な問題はちょっと置いておいて、非常時に一時的に食べさせることができますから。

穴澤:たしかにそうかもしれませんね。

平井:そういう意味では、犬のほうがいっしょに避難する計画を立てやすいのかなと思っています。

穴澤:僕は災害時に人間もそうですけど、犬も足をケガさせたくないと思っていて、地震があってもガラスが散乱しないようには一応気をつけてはいます。足をケガすると歩いてくれなくなるので。

平井:それはそうですね。
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穴澤:大吉と福助なら両手でなんとか担げないことはないですが、たぶん相当きついと思いますし。

平井:大型犬だと自力で歩いてくれないと厳しいですよね。

動物防災の3R、そのひとつめ

穴澤:アナイスでは「動物防災の3R」を提唱しているそうですが。

平井:まずは「Ready(準備)」。備えですよね。最初にお話をしたダメなときはダメかもしれないけど、それでも備えは必要だということです。防災グッズとして特別に備えなくても、いつものフードを常に少し多めに備蓄しているという程度でもいいんです。

穴澤:なるほど。
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平井:あとは飲んでいる薬があるのなら、それは何という名前の薬で、一日に何ミリグラム飲ませているのか、飼い主さんがしっかり把握しておくことも大切です。避難した先にいるかかりつけではない獣医さんに「白い粒の薬」といってもわかりませんから。

穴澤:そういわれれば、うちは常に飲ませている薬はないですが、処方してもらったときに名前までは把握してないことが多いですね。ただ、マイクロチップは入れています。東日本大震災では首輪が抜けた犬が多かったと聞いたので。
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平井:そう、痩せたり、強引に引っ張ったりするとスポッと抜けちゃうんですよね。

穴澤:一応、全国の動物愛護センター的なところにはどこもマイクロチップのリーダーがあるらしいので、もし仮にはぐれたとしても、飼い主不明とはならないだろうと。飼い主が死んでいたら別ですけど。
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平井:やっぱり飼い主さんが無事でいるっていうのが私は最優先だと思います。だから10年前から、まず人間がちゃんと生き残る準備を整えて「自分がこのこたちを守るんだ」という意識を持ちましょうという話をずっとしてきました。

(つづく)
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