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2頭目を迎えて〜福ちゃんの気持ち〜その2【穴澤賢の犬のはなし】

2頭目を迎えて〜福ちゃんの気持ち〜その2

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福助が来て一週間が過ぎたころから、それまでのただ優しく接するだけの態度から、我が家流に切り替えてみた。とはいえこちらも怯える犬への接し方などわからないので、手探りだったけれど……。
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日を追うごとに福助との距離は少しずつ縮まっていると思うのだが、優しいだけではなんとなくそれ以上の関係になれないような気がした。というか、気を使って優しくするのが面倒になっただけかもしれない。猫なで声で「怖くないよぉ〜」とか言ってるのがばかばかしくなってきた。そもそも怖がらせたり嫌がることをしてやろうなんて意識はまったくないのだ。もう我が家が怖い場所ではないことはわかっただろうし、だったらふつうに接したほうがいいと思ったのだ。
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そんなわけで、体に触ったときに福助が牙をむいて噛みつこうとしたら「はいはい、どうぞ」と口に手を突っ込むようにしてみた。噛むことが目的ではないのはわかっているし、犬の口の構造上、手を突っ込まれると本気で噛もうとしても噛めない。
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福助からしたら触ってほしくないだけだと思うが、いつまでもそんなことは言ってられない。我が家に来たからには「この人に抵抗しても無駄」だと思ってもらわないと。それに全身どこを触っても嫌がらないようになってもらわないと健康管理の面でも支障をきたす。何より付き合いにくい。だから悪いがそこは諦めてくれ、と思いつつ嫌がるからといってやめたりしないようにした。やめないのだが、あまりしつこくはしない、そのあたりの感覚は本当に福助の態度を見ながら「今日はこのくらいにしといたるわ」という感じだった。
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ちなみに、こういう接し方が正しいのかどうかは知らない。というか、そんなものは犬によっても違うし、正解なんかないと思う。個人的には方法論ではなく、犬としっかり向き合うかどうかだと思っている。噛もうとする犬の口に手を突っ込んだりするのは場合によっては危険なので、くれぐれも真似しないように。
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実際、福助にも何度か噛まれたし。本気で噛めないとはいえ、子犬の歯は尖っているので何度か手に刺さって血が出たりした。が、覚悟してのことだし、たいした傷でもない。噛んだからといって福助のことを叱ったりもしなかったが、血が出ているところを見せて「な?噛まれたら痛いんだぞ?」と言ったりしていた。そうするとちゃんとわかるのか、どことなく福助もしょんぼりしていた。でも翌日に抱きあげようとするとまた噛もうとする。ほとんど条件反射のようだった。
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そのころは、ちょっと進んだらまた後退してという感じで、これは思っていたよりも長くなりそうだなという印象だった。しかし、我が家流に切り替えてから、最初は毎回ギャンギャン嫌がっていたが、日を追うごとに怒る回数が少しずつ減っていった。そんな福助を、大吉は「抵抗しても無駄なのに……」という顔で遠巻きに眺めていた。そして、福助は次第にされるがままのことが多くなっていった。
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あえて抱きあげようとするのは寝る前にベッドでしていたが、それ以外の日中はソファでくつろぐ福助を無意味に裏返したり、トイレに行ったりする度にちょっかいを出したりしていた。そんな感じで接していると、もう諦めのほうが大きくなってきたのか、何をしても怒らなくなった。ひょいと雑に抱きあげても、だらーんとのびたまま。そこまで約1カ月くらいだっただろうか。このころは毎日大量に写真を撮っていたのだが、本当に日々顔つきが変わっていくのがわかった。しかし、あることがきっかけでまたちょっと後戻りしてしまったのだ。
(つづく)
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