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「犬と食事を考える」のその後〜2【穴澤賢の犬のはなし】

Vol.36 「犬と食事を考える」のその後〜2

以前、この連載で「犬と食事を考える」と題して5回に渡ってペット栄養コンサルタントの奈良なぎささんに話を伺いましたが、実はあのあと実際に大吉の食事について正式に「食事指導」をお願いしておりました。前回は3カ月の食事指導の報告でしたが、今回は犬の食事嗜好性などに話題が展開します。
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穴澤:今回、大吉の食事指導をしていただいている中で感じたのですが、犬って僕が思っていたよりも嗜好性とか飽きとかに左右されてないんじゃないかと。もっと本能というか、自分の体に必要な栄養を摂るために食べているんじゃないかと思ったんです。

奈良:本来は人間も同じだと思いますよ。そもそも食事は生きるために必要なものなので、心身ともに健全であれば、身体が体調に合わせて食べるべきものを教えてくれるんです。

穴澤:確かにそうですね。
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奈良:また嗜好性には、本来の食性に基づくものと経験によって学習したものがあります。ヒトの場合は経験による嗜好性が強いため、犬もそうだと思ってしまうんですね。犬は基本肉食なので「脂肪のにおいがしてアミノ酸の味がする」食べ物を好みます。そのため、脂肪臭が高いほどおいしそうに感じてしまいます。

穴澤:みたいですね。それで脂肪を摂りすぎて消化にエネルギーを使いすぎてしんどくなると食べなくなる、というのを大吉は自分でやっていたわけで、別に同じメニューに飽きたから、とかそういう次元の話じゃなかったんだと。

奈良:「消化にエネルギーを使いすぎてしんどくなる」というよりも、必要以上に脂肪を摂った結果「肝臓で脂肪が処理しきれていない状態」です。大吉君は自分で食べたり食べなかったりすることで、肝臓を休めていたのが幸いでした。ただ、ヒトでいえば「何となく空腹感がわかない」といった状態が続いていたのだと思います。

穴澤:そうかもしれませんね。
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奈良:また、飼い主さんが考える「犬の好きな食べ物」ですが、それは「飼い主さんが好きな食べ物」だったりすることが多いんです。甘いものが好きな飼い主さんは、当然そういった食べものを食べる頻度が高く、それを食べるとき犬が欲しそうに見ていると「うちの犬は甘いものが好きなんだ」といったように。

穴澤:たしかに。

奈良:そう考えると、飼い主さんが考える犬の嗜好性と犬自身の嗜好性はずいぶんかけはなれたところにあると気づきますね。
穴澤:「同じものを毎日食べると飽きる」とか、そういう感覚で見てしまいがちなんですが、犬は違うんじゃないかと。もちろん、多少は飽きもあるのかもしれませんが鶏肉をたまに白身魚に変えたりする程度で、栄養素の問題なのかなと。少なくとも人間みたいに毎日ころころメニューを変えたりする必要はないんだと、今回、大吉を見ていて思いました。
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奈良:手作り食の場合、その犬に適した栄養バランスを満たす食事構成が決まれば、あとはこれを基本に栄養や嗜好性や体調に応じて微調整していけばいいと思います。動物はヒトのように「目で食を選ぶ」のではなく「におい」で選びます。それは安全であることの確認でもあるからです。

穴澤:そうですね。どうしてもついつい人間の感覚を押しつけてしまいがちなのですが、どうも違うみたいです。大吉の場合は手作りご飯でしたが、食事指導でドライフードだけのケースもあるんですか?

奈良:ありますよ。飼い主さんのご希望や、その犬に適した栄養構成にするために、ドライフードに応じて「混ぜる食材」を組み合わせることもあります。
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穴澤:今回、僕は特別なケースとして直接食事指導をしてもらいましたが、ふだんは違うんですよね。

奈良:はい。基本は獣医師の先生からの依頼で栄養相談をさせていただいています。病気がある場合には診断や治療に基づいた食事管理で治療をサポートし、健康である場合には問題点がないかを評価することで予防に役立ちたいからです。

穴澤:最近会った獣医さんに聞いたんですが、アトピーがひどい犬も食事を変えたらぐっとよくなるケースが多いらしいんですが、実際そうなんですか?

奈良:アトピーは原因が不明なので治療が困難になります。そのためさまざまなアレルギー対応フードでも効果がない場合などは、試してみるべきだと思います。
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穴澤:この連載を読んでいる人の中には、僕みたいに犬が食べなくて困るとか、それ以外でも犬の食事で悩みがある人もいると思うんですが、たとえばそういう人が奈良さんに相談してみたいときはどうしたらいいんでしょう。

奈良:逆に、どうしましょう(笑)。

穴澤:では栄養相談に関して内容を決めて、ここで相談を募集しましょうか。詳しくはこの記事の最後に載せようと思います。

奈良:大吉くんのような栄養相談を行うには、さまざまな情報やデータと経過観察が必要です。そのため今回はいただいたご質問とその情報を拝見して、可能性のある問題点と食事調整の方向性をお知らせするという形にさせてください。

穴澤:個人的に今回の食事指導はすごく助かりました。大吉がちゃんと食べてくれるようになったので。
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奈良:「食べる」というよりも「食べたい」という食欲が正常にあるかどうかが重要です。「あまり食べないけど、食べているから…」というのは、すでに何か問題がある証拠。ただし、その問題は犬ではなく飼い主さんの問題であることも多くあります。たとえば、目分量の給与量やおやつの与えすぎです。

穴澤:そうなんだ(笑)。僕も気をつけます。今後とも、何かあったら相談させてください。

奈良:はい、わかりました。

穴澤:それではありがとうございました。

※犬のはなし、次回の更新は2014年1月6日です
【いぬのきもちWeb読者限定:奈良なぎさ先生の栄養相談】

ペット栄養コンサルタントの奈良なぎさ先生による、ペット栄養相談を実施します。

<応募条件>

・愛犬の体重や現在の食事内容など、情報提供のできる方
・食事内容のメモなどの記録を取り、共有可能な方
※栄養相談を受けていただく方は、今後の連載でのご協力をお願いする場合があります。

<応募期間>

2013年12月16日(月)〜2014年1月16日(木) 23時59分

終了しました。
取材協力
Cafe Belami
住所:東京都渋谷区宇田川町6-11 原宿パークマンション地下1階
TEL:03-3464-0631
時間:平日11:00〜24:00 土日祝 11:00〜24:00
※平日12:00〜13:30の時間帯は混み合うため、愛犬と一緒に来店の場合は少し時間をずらすことをお勧めします
穴澤賢の最新刊『また、犬と暮らして。』発売中
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