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トレーナーさんに聞いてみた〜その2【穴澤賢の犬のはなし】

Vol.26 トレーナーさんに聞いてみた〜その2

これまで犬と長く暮らしてきて、しつけ本のたぐいは多少読んだことはあるものの、人によって言っていることが違っていたり、いざ実践してみてもその通りにならなかったりで、最終的には自己流でやってきた。それでも問題はなかったが、このままでいいのだろうかという思いもある。とくに最近、大吉がどんどんビビリになっていることについては、理由がわからない。
そんなわけで、これを機に、はじめてプロのトレーナーさんに相談してみることにした。先生は『いぬのきもち』でおなじみ「ナカムラドッグスクール」の中村 太さん。今回は、怖い音に慣れさせるための方法をお聞きしました。
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写真右より中村先生、穴澤、大吉くん

怖い音にどうやって慣らせばいいの?

中村:犬を苦手なものから慣れさせる方法は大きく2つあって、ひとつは極端ですが、とにかく怖がろうが何をしようが周りでバンバン音を出して慣れさせる方法。ただこの方法だともっと嫌いになってしまって逆効果になりかねないので、基本は小さい音から徐々に慣らしていく方法ですね。

穴澤:小さい音からとは、どうやってですか?

中村:ガンドッグと呼ばれる、狩りを手伝う犬種がいるじゃないですか。鉄砲のドン!という音はとても大きいので、あの音に慣らすため、犬がゴハンを食べている最中にテープレコーダーなどで発砲音を小さく鳴らすんです。毎日ちょっとずつ音量をあげていくんです。

穴澤:へぇ、そうなんだぁ。
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中村:それで犬がちょっとでも嫌がるような反応を見せたら少しボリュームを下げて、その音量に慣れてきたらまたちょっとずつボリュームをあげていくという方法で慣らすんです。

穴澤:考えてみれば、隣で鉄砲を撃っても平気な犬ってすごいと思います。そうやって慣れさせているんですね。ぜんぜん知らなかった。

中村:でもやり方を間違ってしまうと食べなくなるので注意が必要なんです。「ごはん=怖い音がする」になってしまうので。だから食欲より恐怖心が大きくなってしまわないようにしないといけない。
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穴澤:あと、怖がっているときに気をそらすというのも聞いたことがあるんですが。

中村:それもありますよ。気をそらすことで、刺激に対して気持ちが分散するので。ただ、完全に気がそれちゃうと慣れていないという話になるので、原因の解決にはなりません。

穴澤:たしかに。では具体的に大吉の場合だと、どうやればいいんでしょう?

中村:たとえば「しつけ用効果音CD」というのがあって、そういうのを使ってみる方法もありますよ。

穴澤:そんなものがあるんですか。

中村:ええ。花火とか雑踏とかいろいろな音が入っているんですけど、かけてみますか?

穴澤:お願いします。
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中村:とりあえず、花火の音でもかけてみましょうか。
(再生ボタンを押す)

(音が流れると挙動不審になる大吉)
穴澤:あっ、ビビッてるビビッてる。

中村:ちょっとかわいそうですが、まずこうやって小さい音から慣らしていくのもひとつの方法ですね。
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穴澤:でも、ビビリ方がまだまだですね。本物の花火だとブルブル震えますから。

中村:ビビるというより「なんだ?」って感じですね。

穴澤:そういえば、大吉ってテレビから炸裂音が聞こえても平気なんです。スピーカーから出る音も。

中村:音は振動なので。とくに雷は振動が強いので、本物とCDではぜんぜん違うんでしょうね。このCDはチャイムが鳴ると吠える犬のしつけにも使ったりするんですけど、騙される犬はすぐ騙されるし、まったく反応しない犬もいます。
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穴澤:大吉はたぶん騙されないタイプですね。それでもCDを使ったほうがいいんですかね。

中村:2才なので、本格的に直そうとするとかなり大変だと思います。日常的にポータブルプレーヤーを持って、雷とか花火の音を鳴らしながら散歩したり、かなり怪しい人になります(笑)。

穴澤:それでスピーカーからの音には慣れたとしても、本物の音がしたらたぶんダメですよね。

中村:何もしないよりはいいかもしれません。私がよく訓練でやるのは、怖がり始めてマックスまでいかない状態のとき、顔をこちらに向かせてアイコンタクトをとるようにする。アイコンタクトといっても実際には目を見なくてもいいんです。気持ちがこちらに向けば。

穴澤:ほぅ。
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中村:恐怖がマックスまでいってしまうとどうしようもないので、そこまでいかない段階のときに気持ちを緩和させてやるんです。とにかく何かあったらこちらを向かせる。それを徹底していって、さらにCDで小さい音からでも慣らしていく方法の両面からやってみるという方法です。

穴澤:散歩中に名前を呼んでこっちを向かせることはありますけど。ビビリ出したときにはできるかなぁ。

中村:最初はおやつを使ってもいいですよ。パニックまでいかないように慣らせるかどうか。100%慣らすのは無理があるので、ちょっと怖がったときでも飼い主さんの命令をきけるかどうか。

穴澤:うーん、難しそうですね。

中村:とくに臆病な犬のひとつの傾向としては、怖いときにどうしていいのかわからなくなるんですね。だからパニックになって、それこそ走って逃げようとしたり。そうなる前に飼い主さんがガツンと命令してやると、犬は自分のやるべきことがわかり安心します。それを習慣化していくとパニック状態にならなくなるはずです。
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穴澤:それと犬が怖がったときに、飼い主が動揺してはいけないといいますよね。抱きしめて「大丈夫だよぉ。怖くないよぉ〜」と言うのもよくないんですよね? だから僕はわりと平然と「何をビビッとんじゃいお前は」という態度なんですが。

中村:そのほうがいいです。笑っていたほうがいいです(笑)。

穴澤:ただそういうときは、ものすごく恨めしそうな目で見られますけどね(笑)。

中村:本当にパニックになってしまうとできることはほとんどないので、犬の様子を見ながら「オロオロしているけど、今だったらいうことを聞かせられそうだ」と感じたら、そこで命令に従わせることをたくさん経験させられるかどうかですね。なんでもいいんです「お座り」でもいいし「こっちを向かせる」でもいいし。そうやっていくと、犬は怖いときは飼い主のいうことに従えばいいと学びます。

穴澤:なるほど。
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