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何もしない旅【穴澤賢の犬のはなし】
何もしない旅
これまで旅行に行くときは、ついつい何かイベントを盛り込みがちだった。すると結果的になんだかせわしない旅になる。そんな経験、ない？
貧乏性のせいか、どこかへ旅行に行くときには「せっかくだから」と何かをしたくなる。どうせ行くならと有名スポットに立ち寄ったり、観光でなくても「釣り」や「波乗り（現在はもう止めたが）」などのレジャーを予定に入れたりしてしまう。「何か予定を入れないと」と思ってしまうのだ。結果、なんだかのんびりできない旅となることが多かった。
しかも犬連れの場合、人間が遊んでいる間、犬は待っている（誰かが見ていても）状態となる。それはそれで別にいいのかもしれないが、せっかくのんびりしようと思っていた旅行がせわしなくなるのがもったいないと、最近思うようになった。歳なんだろうか。
2月に犬飼いの友人夫妻と静岡県の南伊豆へ旅行に行く予定を立てていたのだが、そういう思いもあって、今回は特にイベントも入れなかった。海が近いというのに、釣り具さえ持って行かない。
渋滞を避けるため、金曜日の夜に出発し、下田あたりまで行って車中泊。朝起きたら移動して、宿に到着。そこから日曜に帰るまでの食材の買い出しを終えたら、あとはひたすらのんびりするという行程だった。
午前中からビール片手にバーベキューをして、芝生で犬たちと遊ぶ。何をするでもない。2月というのにポカポカ陽気で「やることないねー」なんて言いつつ、気がつけば午後になっており、ちょっと昼寝をしたらもう夕食の準備で、なんだかんだで１日が終わってしまった。
翌朝は、昨日の残りで朝食を作り、またダラダラと過ごす。昼頃になって、「そろそろ帰ろうか」と帰路につく。本当に見事なまでになにもしなかったが、大吉と福助はずっと笑顔だった。たまにはこういうのもいいな、と今更ながら気がついたのだった。
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