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居住空間と犬【穴澤賢の犬のはなし】

居住空間と犬

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1頭の犬につき、いったいどのくらいの居住空間が必要なのだろう。狭いと、やはりストレスを感じるものだろうか。
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わが家は1階が私の仕事部屋、2階がリビング、3階が寝室(+客間)と、狭い土地を有効利用すべく3階建てになっている。大吉と福助は、基本的には私のそばにいることが多いが、どこへでも自由に移動できるようになっているので、ふいっと寝室に行ったり、お互い別々の部屋にいることもある。
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どの部屋にも、彼らの居場所は用意してあるので(寝室はベッドの上)、どこへ行っても落ち着くことができるようになっている。犬1頭につき、どのくらいの居住空間が適正なのかは知らないが、中型犬が2頭だし、きっと今の家くらいなら問題ないのではないかと思っている。
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一方、今から10年以上前、東京の初台で富士丸と暮らしていた部屋はというと、それはもう狭かった。なにせ1DKで30平米なかったのだから。そんなところに、大人ひとりと、30キロもある大型犬が暮らしていたことになる。今になれば、なんて無謀なことをしていたんだろうとつくづく思う。
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ただ、当時も狭いとは感じていたが、実はそれほど苦でなかったのも事実だ。どうあがいても荷物が収まらないので、近所にトランクルームを借りたりしていたが、居住空間という意味では、むしろ快適なくらいだった(家賃の関係でそれ以上広い部屋に住めなかったということもある)
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というのも、部屋にいるときは常に富士丸の姿が視界に入るからだ。仕事をしていても、振り向けばソファでごろんと寝ている姿が見える。料理をしているときも、テレビを見ているときも、ベッドで寝ているときも、ふと見れば、そこに富士丸がいた。そしてちょっと手を伸ばせば、触れられる。そんな生活は、悪くなかった。
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あいつは、どうだったんだろう。今振り返ると、さぞ窮屈だっただろうと申し訳ない気持ちになる。今更そんなことを考えたところで、どうなるわけでもない。でもあの濃密な空間が、とても好きだった。今の暮らしも、もちろん好きなのだが、時折、ふと、あの部屋に漂っていた、なんともいえない独特の空気を思い出すことがある。あいつも、案外気に入ってくれていたんじゃないのかな。だったらいいんだけど。
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