ある朝の大惨事【穴澤賢の犬のはなし】

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ある朝の大惨事

ちょこちょこお腹を壊す大吉に比べ、元野良犬（推定）の福助は体が丈夫だ。
これまでほとんど体調を崩したことがない。ところが先日、ある事件が……。

この記事がアップされる1月16日には福助も3才を迎えているはずだが、丈夫なやっちゃなぁと思う。元気すぎて脱臼したことはあるものの、体調が悪そうで病院へ行った記憶がない。たまに吐いたり、ごくまれに下痢をしたりするが、吐いた直後も元気だし、下痢もだいたい一回で治まる（大吉は吐いた後、歯茎が真っ白で慌てて病院に行ったこともしばしば）。

大吉も福助も基本、ウンチは1日2回。調子のいいときは朝と夕方の散歩のときにする。どちらかしないこともあるが、そういうときは次に散歩に行くまでガマンしているのか、家のトイレスペースですることは決してない。犬がみんなそうなのかは知らないが、驚くべき便意コントロール能力だと思う。

ところが先日、朝起きてトイレに行こうとしたら（犬たちの方が後に起きる）、玄関がえらいことになっているのを発見した。汚い話で申し訳ないが、玄関と三和土がゆるめのウンチまみれになっていたのだ。幸い踏まずに済んだが、見た瞬間に「うぎゃーなんじゃこれは、大吉か！」と思った。彼の方がお腹を壊す確率は高いからだ。

慌てて寝室に確認に行くと、大吉のおしりは綺麗だった。よくよく考えたら、大吉だったらたぶん人を起こしてでも自分の意思を伝えるはずだ。ということは？　と福助を見ると、おしりにちょっとウンチが付いている（こちらも幸いにしてベッドは無事だった）。

急いで嫁を起こして２人で玄関の後片付けをしていたのだが、おそらく福助は、夜中にもよおしてどうしようもなくなったのだろう。玄関まで降りてきたはいいが、嫁も私も眠っていて気づいてくれない。まだ人を起こすまで知恵が回らない。でもお腹が痛いか何かで限界が近づいてきたのだろう。

ドアの前でプリ、ちょっと戻ってプリ、三和土でプリ、で、あるところでダムが決壊してドバ！（本当に汚い話でごめんなさい！）という感じで、「大惨事」の現場から、苦悩する福助の様子がありありと想像できた。

奇跡的に靴も無事で、福助が自らのブツを踏んだ形跡もなかったのでよかったのだが、それは彼自身がそう注意したのかもしれない。真意のほどがわからないが、現場を掃除しながら福助のとった行動を思い浮かべていると、掃除そのものは別に苦でもなんでもなく、なぜか彼が愛おしくてたまらなくなったのだった（下痢は例のごとく１回で治まったのでご安心を）。3才の誕生日おめでとう、「うんこたれ」の福ちゃん。