犬のため息の意味は？【穴澤賢の犬のはなし】

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犬のため息の意味は？

ご存じない人もいるかもしれないが、犬もため息をつく。人間と同じように、大きく「ふぅ〜」と息を吐くのだ。深呼吸しているだけなのか、それとも何か意味があるのか……。

犬のため息には何か意味があるのか。この問いかけに対し、長年犬と暮らしてきた経験から答えると「ある」と思う。ただし、ひとつではなく「やることないし、暇だなぁ」「は〜、なんか疲れた」「（他者に対して）バカだなぁ」など、そのときどきによって、様々な意味があると思う。要するに、その点では人間とまったく同じなのだ。

なぜそんなことが言えるのかというと、実際この目で見てきたからだ。だから犬のため息には、明確な意味（意思）があると思う。しかし、すべての犬が同じようにため息をつくわけではないらしい。というのは、まだ2才の福助はほとんどため息をつくことがないからだ。あったとしても「疲れ系」であり、「呆れ系」のため息はつかない。

対して5才になる大吉は、わりとよく「呆れ系」のため息をつく。それは福助に対してであったり、私に対してだったりする。どうもそのあたりには、精神年齢が関係しているように思える。若く「オレがオレが状態」のころには、人を観察する心の余裕も、呆れられるだけの経験値もない。しかし、年齢を重ねていくうちに自我や知識が蓄積されていき、他者に対して「そんなことして、バカじゃないの？」と感じるようになるのではないか、というのが私の分析だ。

そういえば、富士丸もよくため息（呆れ系の）をつく奴だった。私が二日酔いで、なんとか起きてやっとの思いで朝の散歩へ行き、帰ってきた途端にまたベッドに倒れ込んだりしていると、「ふぅ〜」というため息が聞こえてくる。ふと見ると、呆れを通り越して哀れみすら含んだ彼の視線がこちらを向いている、ということがそれはもう頻繁にあった。