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日本動物福祉協会って、どんな団体? その3【穴澤賢の犬のはなし】

日本動物福祉協会って、どんな団体? その3

先日、ペット業界の抱える問題に関する特集番組の中で「公益社団法人日本動物福祉協会」という団体の方が話していた。失礼ながら、知らない名前だった。そこで早速、取材を申し込んでみた。すると、意外な事実や、ほとんど報道されない様々な問題を知ることになった。

第3回目(最終回)は、今度のビジョンと目標について伺いました。
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写真右から穴澤、日本動物福祉協会事務局長の池田康寛さん、獣医師で調査員の町屋奈さん
※ 調査活動の関係上、町屋さんはあまり顔出しできません。ご了承ください

「ミックス犬待ち」の人がいる?

穴澤:ところでこの「JAWS REPORT Vol.78」の表紙の犬、可愛いですよね。
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町屋:うちの安田理事の犬です。

穴澤:うちの大吉に似てるなぁと。

町屋:見ました、かわいいですよね。アナイスの取材記事を読んで、今日来るのかなとちょっと期待していました(笑)。
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穴澤:連れて来たかったんですけど、長距離の車移動だと福助が車酔いをして吐いたりして大変なので(笑)。そういえば、大吉も福助も飼い主を募集しているところからもらったんですよ。

町屋:そうなんですね。

穴澤:僕、長いこと渋谷区の初台に住んでいたんですけど、10年くらい前はミックス犬はほとんど見かけなかったんです。それが最近では、ミックス犬を見かける機会が増えてきたなぁと。

町屋:今は都内で「ミックスのコが欲しい」と言われることがあるんですけど、いないんです。

穴澤:保健所とか動物愛護センターに行ったらばんばんいるでしょう?
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町屋:いえ、都内だと、収容されているのはほとんど血統書付きみたいな純血種です。「ミックス犬がほしい」という問い合わせがあっても「いません」と答えるしかないんです。

穴澤:ええっ!? 大吉は茨城で、福助は千葉でしたが、ほかにもたくさんミックス犬がいるようでしたけど。

町屋:犬に関しては地域性がすごくあって、都会だと純血種で、地方だとミックスが多かったり、または、保護犬自体が少ない地域もあったり。だから保護犬をもらいたいんだけどと、待っている人もいるくらいで。
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穴澤:ミックス犬を希望して待っている人がいるなんて知りませんでした。

町屋:あるんですよ、県によっては。だから、日本動物福祉協会では栃木県と長野県に支部があるので、保護犬が多いところから足りていないところへ持っていく、ということは考えているんです。

穴澤:それもすごくいいと思うんですが、僕なんかから見ていると、保護団体はたくさんあるので、もっと横でつながってネットワークを作ればいいなと思ってしまうんですけど。

町屋:私もそうなればいいと思います。
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日本動物福祉協会が目指すもの

穴澤:日本動物福祉協会として、理想ではなく実現可能な範囲で、こうやっていきたいというビジョンというか、目指しているものはなんですか?

町屋:まず私たちが取り組もうと思っているのは、不幸な動物を助けるだけでなく、不幸な動物を作らないための原因となるもの、根本的な問題に対するアプローチというのは絶対していかなくちゃいけないと考えています。その方法として2つの方向から取り組みたいと思っています。

穴澤:というと。

町屋:まずは法改正、法律から変えていくということがひとつ。もうひとつは、個人個人の動物福祉に対する意識を上げていかないといけないと。そうやってトップダウンと、ボトムアップの両方向からアプローチしたいと考えているんですけど、時間はかかると思いますが大切なことです。
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穴澤:そうなんですよね、社会問題みたいにいわれますけど、個人の意識の問題は大きいですよね。僕も、富士丸と暮らす前は知らなかったので偉そうなことは何も言えないんですが。

町屋:ノラ猫の問題も、無責任なエサやりをする人とか、そういう人がいるところに捨てる人が出てきたり。だからそれはTNR(※)を徹底してやるしかないといわれているんです。が、ロンドンでもノラ猫がいなくなるまでに40年くらいかかったらしいので、日本はまだ10年ほどですから、まだまだでしょうね。そして、捨てる人をしっかりと取り締まることも必要です。(※TNRとは、ノラ猫をTrap/捕獲し、Neuter/不妊・去勢手術を行い、Return/元の場所に戻す活動)

穴澤:ただね、思うんですよ。ノラ猫が一匹もいなくなることが理想なのかなと。別にいたっていいじゃん、と僕なんか思うんですが。もちろん数が多くなりすぎるのは問題なんでしょうけど。

町屋:これは個人的な意見なんですが、私もノラ猫がいる風景って結構好きなんですよ。まったくいなくなったらちょっと寂しいなとは思います。しかし、猫嫌いな人や迷惑をかけられている人への配慮も忘れてはいけないと思っています。猫を悪者にしないためにも、地域住民同士のコミュニケーションは大切なツールだと思います。
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穴澤:地域としての取り組み、日本動物福祉協会のような団体での取り組みで環境がよくなっていければなとは思います。

町屋:熱心な人ほど、偏った情報を信じやすい傾向はあると思うんです。殺処分ゼロが素晴らしいとか。でも私たちが本当に伝えたいのはそうじゃないと。ただ生きていればいいという日本人特有の考え方から、実際にその動物がどのように生きているかということ=動物の生活の質をしっかりと考えてほしい。この意識を変えてほしいと思います。

穴澤:そうですね。私個人としても、日本動物福祉協会の活動を応援したいと思っています。今回はどうもありがとうございました。
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