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THE WANDERLAND for Dogs, Cats and Us
日本を代表する文化であるマンガには、犬や猫が活躍する作品もたくさんあります。
そこで、広く深くマンガを知る書店のコミック担当者に、好きな犬猫登場マンガを選んで、ランキングをつけていただきました。
初回は個性的な棚づくりで定評のあるリブロ池袋本店で5年以上コミックを担当する小池さん。マンガのプロのセレクトはいかに?
◎いぬ漫画セレクション by リブロ池袋本店・小池由紀さん
小池さん’s ランキング
- 1 位 『いとしのムーコ』(みずしな孝之/講談社イブニングKC)
- 2 位 『今月のわんこ生活』(遠藤淑子/秋水社・DAITO COMICS)
- 3 位 『いくえみさんちの白い犬』(いくえみ綾/集英社 愛蔵版コミックス)
- 4 位 『ハッピー!ハッピー♪』(波間信子/講談社 BE LOVE KC)
- 5 位 『星守る犬』(村上たかし/双葉社)
- 番外編 『きのこいぬ』(蒼星きまま/徳間書店 Ryu Comics)
1位 『いとしのムーコ』
【どんな作品?】
柴犬ムーコは、吹きガラス職人で飼い主のこまつさんのことが大好き。お鼻をつやつやさせてダンスを踊ったり、こまつさんがガラスを吹く姿の真似をしてタオルを引っ張ったり、犬目線でいろいろなリアクションを繰り広げるムーコがとってもラブリーです。
【小池さんのツボ!!】
「とにかく、キャラがミソ。実は犬はそれほど好きではなかったのですが、本書には犬の愛らしさが満載。犬ってバカだなあ(笑)とその魅力に開眼しました。ムーコのつぶらな瞳・表情や動きも好きです。以前リブロ池袋本店コミック売場で、みずしな孝之さんの原画展をしたこともあります。それまでは犬とは関係のない4コマやショートコミックを中心に活躍されていたので、みずしなさんにとってムーコは一つの転機になったのでは」
カバーに描かれたムーコの鼻がツヤツヤ加工になっているのも遊び心があります。ぜひ書店で手に取ってツヤツヤ感をお楽しみください。
2位 『今月のわんこ生活』
【どんな作品?】
ボーダーコリーのナナッチとマンガ家の飼い主とのドタバタな日常をつづる4コマ形式のコミックエッセイ。おやつを見ると俄然テンションアップ、お客さんや宅配便屋さんに対応するのも大好きなナナッチですが、猫やほかのワンコは苦手。いやし系ナナッチのときどき爆笑な日々がほんわか展開します。
【小池さんのツボ!!】
「自分の愛犬をヘンにひいき目で見ていなくて、客観的な視点が楽しい。ほのぼのとした作風が好きです。著者の少女マンガ家・遠藤淑子さんは以前から好きな作家で、白泉社の『花とゆめ』に描いていた頃からいろいろな作品を読んできました。そんな遠藤さんがどんな犬マンガを描いたのか知りたくて読んだのが最初です。マンガ家さんの猫飼いマンガはよくありますが、犬は珍しいと思います」
確かに猫と比べると犬飼いマンガは珍しいです。読むとほのぼのとした気持ちになれるので、肩の力を抜いて楽しめる犬マンガを探している人は要チェック!!
3位 『いくえみさんちの白い犬』
【どんな作品?】
北海道在住の人気マンガ家、いくえみ綾さんと、元は向かいに住むおじいさんの飼い犬だったラブラドールレトリーバー「シロ」とのしあわせな毎日を描くコミックエッセイ。もともと猫派の著者は、「くさいし、くいしんぼうだし、むだにでかいし、いつも見てるし」といろいろあげつらいつつも「犬ってかわいいなぁ」とシロに愛情をいっぱい注ぎます。
【小池さんのツボ!!】
「いくえみ綾さんといえば、少女マンガはもちろん猫飼いマンガ『そろえてちょうだい』も描いていて、猫好きのイメージのあるマンガ家です。なので、最初はこの人が犬のマンガ!?……と意外に思い注目しました。リブロ池袋では、コミックエッセイはほかのマンガほど人気が出ないことも多いのですが、本書は予想外に売れましたね。とにかく健気でかわいいシロと、飾らないキャラでいい味出しているいくえみさんの視点にいちいち笑わせられながらも、犬の幸せとは?……と深く考えさせられる秀逸な一冊です」
猫に対するのと、犬に対するのとでは、ちょっと感じ方も態度も異なる様子のいくえみさん。それでも、どちらも愛すべき存在として共にしあわせになることをめざす著者がとっても素敵。
4位 『ハッピー!ハッピー♪』
【どんな作品?】
1995年の連載開始から18年目を迎えた盲導犬の物語。スキーの事故で失明し希望を失いかけた主人公、香織は人のすすめで盲導犬でラブラドールレトリーバーのハッピーと暮らすように。ハッピーを通じて、人間関係も運命もがらりと変わっていく主人公と、彼らをとりまく獣医や盲導犬の訓練士、子どもたち、そして周囲の犬や猫をめぐってさまざまな人間模様が描かれます。初代ハッピーに次ぐ2代目ティンクルも活躍!
【小池さんのツボ!!】
「いぬマンガの定番といえばこれかな、と。テレビ東京系列でドラマ化されたこともあり、リブロ池袋店でも静かに売れ続けているロングセラーです。盲導犬への理解を深めてくれる奥の深い作品なので、多くの方に読んでほしいです」
この作品の第一章にあたる『ハッピー!』から一気に読みたくなる作品。盲導犬を取り巻く環境についても考えさせられます。連載中の作品なので、これからの展開も気になるところですね。
5位 『星守る犬』
【どんな作品?】
人生のレールから外れてしまった「おとうさん」をどこまでも健気に慕う犬の「ハッピー」。1人と1頭がはじめた旅の結末は……。
【小池さんのツボ!!】
「泣けます! 覚悟してください! 2011年6月に西田敏行さん主演で映画化された感動作です。今でもリブロ池袋のコミックフロアで平積みをするほど定番の作品になりました。不器用で憎めない“おとうさん”が、ハッピーを失わないために取った選択、そして、いつまでもおとうさんと一緒にいられることを信じて疑わないハッピー……。読後にハッピーの無垢な表情が心に迫ってきて涙せずにはいられないはず……」
タイトルの「星守る犬」とは慣用句で「高望みをしている人」「決して手に入らない星を物欲しげにずっと眺めている犬のこと」だそう。ハッピーの健気さと重ねて読者にその意味を問いかけてくる深妙な表現です……。
番外編 『きのこいぬ』
【どんな作品?】
愛犬・はなこを亡くして傷心の絵本作家・夕闇ほたる先生。庭に生えたピンクのきのこを眺めていたら、もぞもぞと動き出したそれは実は犬、「きのこいぬ」だった……。不思議でかわいい謎の生き物「きのこいぬ」がきっとあなたをいやしてくれます。
【小池さんのツボ!!】
「なんと言っても、表紙が超絶にかわいい! カバーにドンと描かれた「きのこいぬ」にやられました。といっても、タイトルに騙されないで。コレはきのこ。きのこのマンガですよ。かわいいし、動くし、食べるけど……。あれ? もしかして犬ですか……?」
見た目も動きもかわいい〜と評判のキャラクター「きのこいぬ」は、新種の犬か、はたまた新種のきのこか……。たこ焼きにハマってみたり、絵を描くのが得意だったりする不思議かわいい「きのこいぬ」の正体、ぜひ自分の目で確かめてみませんか?