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【獣医師監修】実は怖い「猫風邪」治療や予防、ヒトへの感染など解説

猫風邪(猫カゼ)は一度感染すると長い付き合いになることもあるので、正しく理解して予防に努めることが大切です。今回は、猫風邪の原因や感染経路、主な症状、治療法、治療費、注意点、予防法や、人にうつるのか? などについて詳しく解説します。

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猫風邪ってどんな病気? 原因や感染経路は?

毛布に包まれた猫の写真
Osobystist/gettyimages

猫風邪はウイルス・細菌による感染症の総称 主な感染経路は?

猫風邪とは、くしゃみや鼻水、発熱、咳など、人の風邪のような症状があらわれる、ウイルスや細菌による感染症の総称です。

猫風邪の原因となるのは、主にカリシウイルスとヘルペスウイルスの2種類のウイルスですが、症例は少ないものの、クラミジアなどの細菌が原因となるケースも見られます。

なお、猫カリシウイルスに感染することで発症する病気を「猫カリシウイルス感染症」、猫ヘルペスウイルスに感染することで発症する病気を「猫ウイルス性鼻気管炎」と呼び、どちらもウイルスに感染した猫との接触や、その猫のくしゃみや咳などによる飛沫によって感染すると考えられています。

同居猫がいる場合は隔離するのがベター

多頭飼いをしている場合、1匹の猫が猫風邪に感染すれば、同じ空間で生活しているほかの猫も猫風邪に感染するおそれがあります。集団感染を防ぐためにも、可能であれば、猫風邪に感染してしまった猫は別室に隔離するようにしましょう。

猫風邪は人にもうつるの?

猫カリシウイルス感染症と猫ウイルス性鼻気管炎は、人に感染することはありませんが、クラミジアが引き起こすクラミジア感染症は、人にうつることがあるといわれています。クラミジア感染症に感染した猫に触れた後は、十分に手洗いをするようにしましょう。

猫風邪の主な症状とは?

美しいヨーロッパの猫はソファーの柔らかい白い毛布でリラックス
Alikaj2582/gettyimages
猫風邪の主な症状は以下のとおりです。

くしゃみ・鼻水・鼻づまり

猫風邪にかかるとくしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状がよく見られます。初期はさらっとした水っぽい鼻水をしていますが、細菌などの二次感染を起こすと黄色や緑色のドロッとしたものになり、次第に固まっていくのが特徴です。

鼻水が固まってくると、鼻の中にとどまって鼻腔内を塞いでしまうため、鼻が鳴ったり口を開けて呼吸をしたりすることが。また、嗅覚が鈍くなったり、呼吸しづらくなったりするため、食欲が落ちる猫もいます。

猫の鼻水については、以下の記事も参考にしてみてください。

発熱・咳

猫風邪では発熱の症状が見られることあります。猫の平熱はおよそ38℃台のため、39℃を超えたら発熱していると考えていいでしょう。

また、乾いた咳や痰がからんだような咳が出ることもあります。口腔内や舌が赤く腫れて痛みを伴う口内炎や舌炎、のどが腫れることで声に変化が起こるなど、口腔内に症状が出るケースも見られるでしょう。

目やに・涙・充血

ほかにも、目やにや涙が多く出る、結膜の充血や腫れなど、結膜炎の症状が見られることがあります。場合によっては、結膜炎と同時に角膜炎を発症するケースも。猫の結膜炎や角膜炎については、以下の記事で解説していますので、あわせて参考にしてみてください。
なお、これらの症状は単独で出現することもあれば、複数が同時期に出現することもあります。急に高熱が出て数日で治ることもあれば、鼻水だけが数か月続くということも珍しくありません。症状を悪化させないためにも、愛猫の不調に気づいたらなるべく早く動物病院を受診しましょう。

猫風邪の治療法や治療費の目安は? 自然治癒するの?

日差しの中で快適に眠っているかわいい猫。
chie hidaka/gettyimages
今のところ猫風邪の特効薬はないため、症状に合わせた対症療法を行います。

猫風邪における対症療法とは?

一般的にはインターフェロンの投与や細菌の二次感染がある場合には抗生剤などを使用し、それと同時に、栄養価の高いフードを与えるなどして、免疫力を高めるサポートします。

また、鼻水や発熱、咳、目の症状が見られる場合には、鼻水を抑える薬や咳止め薬、解熱剤、点眼薬などが用いられることも。そのほか、気化した薬液を口や鼻から吸引するネブライザー治療が必要な場合や、食欲がない・脱水傾向にあるときは注射や点滴をする必要があるため、連日通院することになるでしょう。

なお、軽症な場合は投薬のみで様子を見ますが、重症化してしまったときなどは数日~数週間程度入院治療が必要になるケースも。あまりに経過が長い場合は精密検査を実施し、猫風邪以外の病気の可能性を追求することもあります。

治療期間はどのくらい?

猫風邪がよくなるまでの期間は、症状によって数日~数か月とかなり差があります。一般的に、くしゃみや鼻水などの症状は長引くことが多く、長期に渡り慢性化してしまうと治りにくい傾向に。

特に猫ウイルス性鼻気管炎や猫カリシウィルス感染症は、一度感染すると体内に残りやすく、完治が難しいといわれています。そのため、免疫力が弱るなどすると症状が再発することも珍しくありません。また、症状が治まるまでに数週間~数か月かかったり、よくなったと思ったらぶり返したりすることもあります。

自然治癒することはある?

症状が軽ければ、自然に治る場合もあるようです。しかし、食欲不振などが起きると全身の健康状態にも影響するため、軽症だからと油断はせず、早めに動物病院に連れていくことが肝心です。

治療費の目安は?

入院になってしまうと治療費はかさみますが、通院で内服薬による治療を行うのであれば、検査費用を除き1回数千円程度でしょう。

ただし、インターフェロンは高価とされていますので、使用した場合は治療費が高くなる傾向にあります。薬の価格は猫の体重や動物病院によって異なるので、気になる場合は直接動物病院に確認しましょう。

悪化・再発しやすい? 猫風邪の注意点とは?

スリープグレイキトン
hamacle/gettyimages
以下のようなケースでは、猫風邪が悪化・再発しやすいので注意が必要です。

免疫力の低い子猫・老猫などは悪化しやすい

体力や免疫力のない子猫や老猫の場合、感染して発症すると重症化してしまうことが多くあります。治療が間に合わなければ、命を落としてしまうおそれもあるので十分注意が必要です。

特に、すでにほかの感染症にかかっている場合は、免疫力がさらに低下しているため、通常よりも症状がひどく出ることがあります。

ウイルス性の猫カゼは再発しやすい

先述したとおり、ウイルス性の猫カゼは感染すると、再発しやすい傾向にあります。そのため一度ウイルス性の猫カゼに感染した猫は、免疫力が落ちないようふだんから注意して生活することが大切です。

部屋の温度を適切に保ったり、ストレスがなるべくかからないように配慮したりして、猫の体調を気遣ってあげましょう。

猫風邪の予防法とは?

自宅で美しい猫
AaronAmat/gettyimages
猫風邪は以下のような方法で、ある程度予防することができます。

ワクチンを接種する

ワクチンによる予防効果は100%ではありませんが、ワクチンを接種しておくことで、万が一猫風邪に感染したとしても重症化しにくくなるといわれています。

猫風邪の予防には、猫ウイルス性鼻気管炎・猫カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症の3種類が含まれた「3種混合ワクチン(コア)」の接種が効果的です。生後8週齢に1回目、生後12~14週齢に2回目、その後は年に1回のペースで接種するのが一般的ですので、かかりつけ医に相談してみましょう。

完全室内飼いを徹底する

猫風邪の感染源の多くは、ノラ猫との接触とも考えられています。外での放し飼いは避けて脱走対策も行いつつ、室内飼いを徹底するようにしましょう。網戸越しにノラ猫と接触してしまうこともあるため、窓を閉める習慣をつけることも重要です。

生活環境を整える

そのほか、猫の生活環境を整えてあげることも、猫風邪予防には欠かせません。免疫力が下がらないよう、季節の変わり目の室温管理に気をつけたり、ストレスのない生活を心がけたりするといいでしょう。

たかが風邪と思わずしっかりと対策を

ベビーの猫
Naked King/gettyimages
猫風邪は最悪の場合、死に至ることもある病気です。たかが風邪と思わずに、ワクチンで予防したり、生活環境を整えてあげたりして、しっかりと予防してあげることが大切です。猫風邪については以下の記事でも解説していますので、あわせて参考にしてください。
参考/「ねこのきもち」2016年5月号『防げる?治せる?付き合える? 意外と知らない ねこの5大感染症』
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/ハセベサチコ
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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