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赤子の手をひねらない犬たち【穴澤賢の犬のはなし】

赤子の手をひねらない犬たち

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大型犬はもちろん、中型犬でも本気を出せば子どもより強いはず。しかし、彼らはそうしない。
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最近、妻の友人が子どもを連れて遊びに来ることが何度かあった。まだ1歳くらいで、歩くのもおぼつかないので、見ていてとてもハラハラする。幼い子どもは、だいたい犬を見ると「わんわん、わんわん」と言って触ろうとするものだ。
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うちに来た子も、大吉と福助が気になって仕方ないようで、少し目を離すと彼らに近づいていく。ただ加減を知らないから、悪気はまったくないのだが、毛をむぎゅっと引っ張ったりする。当然、大吉たちからしたらいい迷惑なので、子どもを避けるようになる。
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よちよち歩きの子から逃げるのは簡単なので、近づいてくると大吉と福助はするするっと体をかわす。そんな様子を見ていて、ふと不思議に思った。大吉も福助も子どもが近づいてきたら避けはするが、決して攻撃的にはならないのだ。まぁ攻撃的になられても困るが、なぜ彼らは種の違う人間の子どもが自分より弱い存在だとわかるのだろう。そして危害を加えられそうになっても、なぜ反撃しようとしないのだろうか。
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同様の話はよく耳にする。たとえば犬や猫を飼っている家庭に赤ちゃんが産まれても、迷惑そうな顔はするが怒ったりはしないらしい。以前、そんなケースで猫を飼っている家庭の話を聞いたことがある。赤ちゃんが猫のしっぽを引っ張ったりすると、決まって猫は赤ちゃんにではなく、飼い主のところへやってきて「あいつをどうにかしろよ!」という態度を取るという。
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興味深いのは、赤ちゃんが成長するにつれ、直接本人に対して怒るようになるらしい。これは別のケースで、犬と赤ちゃんがいる家庭の人から聞いた話だが、小さいころは何をされても犬は決して怒らず、避けるだけだったのが、子どもが3歳を過ぎたころから、嫌なことをされると直接「ギャン!」と吠えて怒ったりするようになったという。
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たしかに、小さな子供に何を言ってもわからない。それが3歳くらいになってくると、少しはコミュニケーションがとれるようになり、なんとなくものの良し悪しがわかるようになってくるからだろう。ただ、なぜ犬にそれがわかるのだろうか。大人の犬(猫)が本気になれば、幼い子どもなんて相手ではないだろう。でも彼らは自分より弱い存在に何をされても、怒ることも反撃することもない。困った顔で赤ちゃんから逃げる大吉と福助を眺めながら、「偉いなぁ」と思ったのだった。
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