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孤独を知らない男【穴澤賢の犬のはなし】

孤独を知らない男

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人は誰しも孤独に耐えなければならないときがある。たとえどんな困難に直面しても、最終的に選ぶ道は自分で決めなければならない。そうした孤独を乗り越えて、人は成長する。とくに男はそうあるべきだろう。しかし、わが家には孤独をまったく知らない「男」がいる。
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よくよく考えてみたら、わが家に来てからの福助は「ひとりぼっち」になったことがほぼない。留守番をさせているときも大吉がそばにいるし、外出するときもずっといっしょだ。たとえばどちらかを動物病院に連れて行く必要があっても、必ず2頭とも連れて行く。だから、福助をひとりにするシチュエーションがないのだ。
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いっぽう大吉は、ひとりだけでいた時期があるからそれなりに自立している。気がついたらひとりだけで仕事部屋や寝室に行っているときがあるし、福助だけを散歩に連れて行っても、おとなしく家で待っている。
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福助はというと、ふだんは大吉のそばにくっついているし、大吉がどこか別の部屋に行っているときは私のそばにいる。どうやら、視界の中に誰かしら「家族」の姿が見えていないといけないらしい。
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しかし、24時間ずっと誰かがそばにいる状態というのはどうなのだろう。たまにはひとりになりたいとか、四六時中だれかの目があることを鬱陶しく感じることはないのだろうか。自分だったら、たとえ家族であっても耐えられないだろう。けれども、福助を見ているとまったくそんなことはないらしい。逆にひとりになることなど考えてもいないようだ。
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ためしにひとりだけにしてみたらどうなるんだろうと思い、大吉だけをちょっと外に連れ出してみたことがある。そしたら案の定、玄関を出た瞬間になんとも情けない声でキャンキャン鳴きだした。情けないったらありゃしない。いつもそばに誰かがいてくれないとダメなんて、なんと頼りないやつなんだ。そんなことでこの先どうする。そうは思うのだが、先のような理由で福助がひとりぼっちになる機会はこの先もほとんどないと思われる。こうして孤独を知らない男は、知らないまま成長していくのだろう。
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そんな福助は、なぜかソファに挟まるのが好きなようで、大吉や私がソファに寝転がっていると、背もたれとの間にできた隙間に自らやってきてスポッと収まる。どうやら誰かにくっついているのが心地よいらしい。わが家に来た当初は、触られることも拒んで牙をむきだしていた犬とは、とても思えない。そして、実は私も福助が隣に挟まってくれると、ほんのり暖かくてもふもふしていて、とても心地がいい。
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